あめんぼ通信2008

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

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西成山王ホテル

 学校ルポ「格差に挑む」で、大阪府立西成高校が朝日新聞に取り上げられている。
 
 西成とは、カスバ・・・どん底・・・曇天・・・よどんだ空気・・・這い上がれない・・・逃げ出せない・・・また逆戻りしてしまう・・・

 どうしようもない・・・

 どうすることもできない・・・

 そんな西成を書いた黒岩重吾さんの「釜ケ崎シリーズ」が大好きだった。

 『南海電車の萩之茶屋駅に立つと、西成天王寺界隈が一眼で見渡せる。汚れた街である。それは屋根瓦にはっきり現れている。華やかな色彩がない。
 夕方になると空は夕陽を浴びたスモッグで不気味な暗い血の色に染まることもある。
 そんな時、煙突は黒い鉄の棒のようであった。ネオンの瞬き始めた通天閣は、この界隈で唯一の美しい塔である。
 人々はたそがれになると、なんとなく通天閣のネオンを見て安心するようである。
 萩之茶屋商店街の裏側は西成のカスバ地帯であった。』

 大阪のカスバ、西成山王町は、灰色のスモッグと通天閣の下に拡がる汚れた町である。その町の底に生臭い欲望をむき出しに生きる住人たち。
 浮気な養母への見せしめにその情夫と相抱く女
 恋人を憎むやくざの兄を刺殺する美少女
 非常のチンドン屋に純愛を捧げる売春婦

 著者の眼は人間の悲しい業を見つめ、あくまでも冷徹である。(西成山王ホテル)

 
 しかし、自分自身は西成に足を踏み入れたことは一度もない。足を踏み入れてはならない場所のような気がした。

 黒岩さんの釜ケ崎シリーズをほとんど読んだから、行かなくても、住んでいるような疑似体験ができた。だから行く必要がなかった。

 その本を読んだのは、東大阪市のとある安アパートに住んでいた時だった。大阪にはつごう7年あまり住んだが、住んでいた3箇所の町以外はほとんど出歩かなかった。

 西成には、空がない、土がない。

 ここで生まれ育ったら、ここ以外の世界はなかなか実感できない。そして、親が歩んだ道を、いつのまにかまた自分も歩んでしまう。

 未来はない。現実を脱出することもできない。落ちていく。ひたすら落ちていく道しか見えない。

 普通のサラリーマンになる道。それは白い社会の人にとっては簡単かもしれないが、西成の社会の人にとって簡単ではない。親が通っていないコースは通れない。

 そして状況は次の世代へ引き継がれる。

 空もない、土もない。

 
 考えてみれば、田舎にも土がない。

 土はあっても、土の相手をしていたら、明日の生活に事欠くから、土の相手などできない。

 土は土と親しむことのできる境遇の人だけのものである。

 現代という時代は、土が身近にある人さえ、土と完全に切り離された生活を余儀なくされている。

 現代人の最大の不幸は土と離されすぎたことにある。

 しかし、その土と接することは、大多数の人は定年まで待つ必要がある。

 定年まで待っても、事情によっては土と接することができない人も多い。

 結局、人生の終盤になって土と接することが許されるのも、一部の恵まれた境遇の人だけである。

 人間の本性は土着性。土から離れた人間、離されすぎた人間の魂は、浮遊して根を持たない。

 そして、その状態が長く続くと

 特定の宗教に過度に依存したり

 ナショナリズムに依存したり

 アイデンティティを築けず

 自分自身を見失い

 他人に対して暴力的になったり

 自分に対して暴力的になったりする

 しかしもう土の上には戻れない

 戻りたくても戻れない

 99%のニワトリは土から離されてケージの中である

 99%の人間もニワトリと同じようなケージの中にいる

 資本主義はニワトリや人間を土から離してしまった

 しかし人間の魂は土に抱かれないと安らがない

 魂は着地することもできず、夢遊状態で彷徨う


 現代人は土から遠く離されてしまった。

 それはイギリスの産業革命まで遡る。

 産業革命により、土地を手放さなければならなくなった人間は、土地を持たない労働者として働くようになるが、事情により労働者として働けなくなると、住む家もなにもかも失う。現代のホームレスの状態である。

 つまり、ホームレスは産業革命から始まり、その後、資本主義の発達とともに増え続けた。いつの世にも存在したわけである。

 そして時代は、大多数が労働者という時代になり、農家はごく少なくなった。

 資本主義が発展すると、なぜ農家は滅びるのか。

 グローバル化して、カネさえ出せば、世界のどこからでも農作物が入ってくるからだろうか。

 しかし現在、温暖化や後進国の発展で、簡単には輸入ができなくなった。

 国内で自給する必要に迫られている。

 今までさんざん海外の安い飼料等を輸入してきて、価格が高騰したから急に自給、自給と騒ぎ立てても、すぐには対応できない。そして価格が安くなったら国産などすぐにまた見向きもしなくなる。

 
 米は作るな作るな

 キャベツやダイコン等は、しばしば産地廃棄があるくらい豊富

 ニンジン、タマネギ、ネギは中国産がいくらでも入ってくる

 こう見てくると、不足(高騰)しているものは限られてくる。飼料や大豆や麦である。

 飼料稲や大豆や麦の生産には、輸入物との差額を補助する必要がありそうである。

 グローバルな社会だから、とにかく諸外国の動きに一喜一憂させられる。自給するにも世界の第一次産業の状態から眼が離せなくなった。すでに世界の農産物と同じ土俵に上がらされている。

 エサが自給できる範囲の頭数で、動物を飼うべきだった。今の日本の畜産の頭数は、飼料は輸入という前提のもとで増やし続けてきたわけであるから、自給で賄えるように飼い方の頭数を減らす必要がある。


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プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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